2011-04-24 2011年3月号 会員2欄 「短歌人」詠草 自転車の倒れるまでの一瞬を僕らは息を詰めて見つめる天使舞い降りるがごとくいくすじの陽は差す冬の大黒ふ頭にインシュリン注射の針の冷えびえと父が肌えの粟立ちておりつまずいて着物の裾をひるがえし女歩めり夕の銀座に祈るごとケータイ掲げる群れにいて無数の光る腕を見ていた終電の床に転がる空き缶を見届けぬまま駅に降り立つ