2011-04-28 2011年5月号 会員2欄 「短歌人」詠草 三枚の羽持つ風車ゆっくりと遠い海辺に発電をするにぎり飯ほおばる昼の指先に餌の磯蚯蚓(いそめ)の残香を嗅ぐ豚のデス・マスクの見あげるその先の空高く銀の米軍機往くラーゲリを生き延びし祖父をふるさとは赤き教授と呼びて疎みつ床ずれに薬を塗られて祖父は見し南の国の鳥のまぼろし少年のかたく握りし手の先のはるか高みに連凧は舞う*1 *1:『短歌人』2011年5月号 2011年4月27日に自宅へ到着。詠草は東日本大震災が発生した当日である3月11日朝に投函した。