2011年1月号 会員2欄

しゃぼん玉くだけるときの冷たさを頬に受ければ七色の風 *1

夕暮れのメリーゴーラウンド浮き沈む永久に届かぬことばを乗せて

水槽の中のマグロを観るように紫煙を吐きだす男らをみる

鉄橋の真下に立ちて眼閉じれば我が身の内を列車抜けゆく

粉薬まきしごとくに黒土へ金木犀は花を散らしぬ

ペンキ屋のシンナーの香をくぐるとき少年たちの声はとぎれる

*1:第3回ネット歌会に発表した「しゃぼん玉くだけるときの冷たさを頬に受く 秋はわかれの季節」を改作。2010年11月14日、ネット歌会ウェブサイトにて作品発表